コラム

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犬の子宮蓄膿症

2016年10月21日(金)

カテゴリ:軟部外科

子宮蓄膿症は、避妊手術をしていない高齢犬によく見られる子宮の病気です。子宮に細菌が感染し、子宮の中に大量の膿がたまる病気で、細菌の毒素が全身にまわれば死に至る可能性があります。治療は、卵巣子宮摘出手術と徹底的な抗菌治療を行います。

今回の症例は14才の雌のチワワ犬、お腹がパンパンに張っていました(写真①)。

超音波検査や血液検査などで子宮蓄膿症と分かりました。手術により子宮を摘出しなければ、恐らく一週間ももたない状態だと思われます。この子は聴診すると心不全があり(Levine 3/6)、血液検査で貧血(Ht21%)があることも分かりました。また、子宮は極度に大きくなり、腹腔のほとんどを占めていました。さらに年齢も14才と高齢であり麻酔の危険性が非常に高い状態でした。 手術中の血圧の変動を最小限にするよう細心の注意を払いながら、子宮を摘出しました(写真②)。

手術前に4.3kgあった体重が手術後に2.8kgになっていました。なんと1.5kgの子宮が3kg以下の小さな体の中にあった事になります!

今回は非常に条件の厳しい手術でしたが、手術は無事成功し、手術してから一ヶ月もたった頃には、『病気になる前より元気かもしれない』 と飼い主さんも喜んでいました。せっかく大手術を乗り越えたのだから、まだまだ寿命を全うするまで、飼い主さんとの幸せな生活を長く送ってほしいと思いました。

若いうちに適切に避妊手術を受ければ、子宮や卵巣の病気の可能性はなくなります。若い頃の手術であれば、麻酔の安全性も非常に高くなります。ペットの寿命が長くなった現在、年をとっても安心して、より長く幸せな生活を送れる動物たちが増えてくれたら、と願います。

「ヒモ」の誤食による腸閉塞

2016年10月21日(金)

カテゴリ:軟部外科

猫がヒモで遊ぶのが大好きだということは、猫を飼っている方は皆さんご存知だと思います。しかし、その 『ヒモ』 が大変危険な状態を引き起こす可能性があるということは、意外と知らない方も多いのではないかと思います。 猫がヒモで遊んでいると、猫の舌のザラザラにヒモが引っかかり、猫がクチャクチャと口を動かしている間に、誤って飲み込んでしまうことがよくあります。 ヒモの片端が腸を流れていき、もう片端が胃などで留まっていると、ヒモの両端に引っ張られ、腸がたぐり寄せられていきます。腸がアコーディオンのように折り重なり、最終的に閉塞を起こします。

今回の症例は、1才の猫、食べたものを嘔吐するということで受診されました。
嘔吐の症状が通常よりも重症なので腸閉塞の可能性があると考え、バリウムを飲んでもらいレントゲン撮影を行いました。2時間たってもバリウムが全く胃から流れ出しません。エコーを確認すると、腸が強く蛇行しており、しかも蠕動運動が全くありません。そこで、ヒモ状異物による腸閉塞の可能性が非常に高いと考え、手術を行いました。


(写真①)は、腸がアコーディオン状に折り重なっている様子です。腸切開2ヶ所と胃切開を行いヒモを取り除きました。(写真②)は手術後の腸の状態です。

(写真③)は実際に腸の中から取り出したヒモです。 手術後は嘔吐はなく、術後2日目には家で食べていたキャットフードを持ってきてもらうと食べだしました。 ちなみに、とても人懐っこくかわいい猫で、元気にご機嫌で退院していきました。